◇突然の訪問者 ページ6
無機質な低い声が開戦宣言を出してから数週間。
一向に終わる気配は無いものの、数日に1度ラジオから流れる報告では優勢のようだった。
「Aちゃんのお家がある森は、国境のすぐ側だから本当に気をつけなさいね」
「何かあったら、すぐ町まで逃げてくるのよ」
親しくしてくれた人達から再三言われた言葉だったが、数日前から銃声が遠くで聴こえるようになって初めて本当だったんだと自覚した。
それが銃声だと気づくまでには少し時間を要したが、それほどまでに自分は平和な世界で生活していたんだなと思い知らされた。
外に出ては行けない、訳じゃないけれど危ないから出られない。そうなれば暇なものは暇。
『新作はファンタジー系にしようと思ってたんだけどな』
忘れてはいけない、本職は小説家である。
ファンタジー系書こうとしていた矢先に自分がファンタジーな事になっているのだから笑えない。
『どうせならミステリーとかにしてみるのもありかな』
どうせ暇なのだし時間を無駄にするくらいならばと執筆作業を始めて2時間ほどたった頃。
ガタガタと大きな音が玄関先からしたので恐る恐る覗いてみれば、
『だ、だれ…』
そこには土やらなんやらでドロドロに汚れた一人の男性が侵入していた。家の鍵をかけてなかった自分に落ち度があるとはいえ、立て付けの悪くなった開きっぱなしの扉を見たら鍵も意味無いのではと冷静になってしまった。そんな場合ではないのだが。
「っち、人おったんか…」
座り込んだ彼は立ち上がろうとするが力が入っていない。
よく見れば傷だらけで顔色も悪い。
ふと開いた玄関扉の外から大勢の声が微かに聞こえた。
「あいつどこいった、」
「くそ、逃げ足はやいやつめ」
あ、狙われてるんだ。この人。
忘れてはいけない、まさしく今は戦時中。
敵か味方か、確率50%にかけてみよう。
急いで玄関の扉を閉めて、鍵もロックもかける。
動けない彼の靴に手をかけ、脱がせた。
「っ、おいお前、なにしとんねん」
『…傷の消毒くらいはできますから』
「戦争中やぞ、軍人を家にあげるのはあほやろ」
『あほです』
見知らぬファンタジーの世界で戦争中だなんて非現実的な事実にきっとアドレナリンがドバドバしているんだろう。
自分でも命に関わるかもしれないとわかってるのにこんなことをしてしまうのは、傷だらけの人はほっとけないなと思ってしまう日本人の性かもしれない。
肩を貸して客間のソファまで運ぶと、彼は小さな声ですまん、と謝った。
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ーーー - 好きです (3月13日 4時) (
レス) @page35 id: fc78fe5922 (このIDを非表示/違反報告)
マリン(プロフ) - 楽しい作品ありがとうございます！続きも楽しみにしてます。 (2023年3月27日 10時) (レス) id: 26248b9bea (このIDを非表示/違反報告)
なな - お米様抱っこ好きですw (2022年10月15日 21時) (レス) @page28 id: 7cadbb1f0e (このIDを非表示/違反報告)
スンドゥブ左衛門(プロフ) - 無名さんさん» お返事遅くなりました。どちらに掲載したのか等をお教えいただけるのでしたら、是非お願い致します。ﾂｲｯﾀとかでご連絡頂けると助かります。 (2022年8月7日 8時) (レス) id: 2b12ea7bfc (このIDを非表示/違反報告)
無名さん - 失礼します！僕今、おすすめの作品を紹介していて、作者様のお名前と作品を出してもよろしいですか！？こちらの作品僕大好きでして…ぜひ紹介したいんです！ (2022年8月6日 11時) (レス) @page35 id: ea8e66f22c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：スンドゥブ左衛門 | 作成日時：2022年6月14日 15時
