◆旅人の能力 ページ33
ni side
すうすうと寝息を立てた彼女を見下ろしながらため息をついた。
「ねえ、ほんとにやるの？」
「まあ仕方ないよね、総統命令やし」
「気乗りしないなあ…」
予定より1週間ほど遅れて出張から帰ってきた俺は、帰国早々グルッぺンに呼びつけられ、所属不明の見知らぬ女の子を探れと医務室に放り込まれたのだ。
俺の能力は"
触れた相手の記憶や脳内を自在に探ることが出来る能力だ。
必要な情報を自在に引き出すことは可能だが、触れた相手が知らなければ真相は見えてこないのだ。
その能力の有用さはとても高いが体力を根こそぎ持っていかれるので使用は最小限。その最小限を使え、というお達しが来ている時点で事の重大さは俺にも伝わっている。
「いたいけな少女に触るの、なんか気が引けるなあ」
「まあ、ラッキーくらいに思えば？」
「出来るわけないだろ」
若い分治癒能力が高いとはいえまだ少し傷の残る手首をそっと触り能力を使うと、一気に情報が流れてくる。
流れた映像、見えた記憶、その全てが彼女の人生を物語っている。見たことの無い世界、見たことの無いもの、そしてほんの僅かな町の記憶。見知った顔が流れてきたところでプツリと情報が途絶えた。
あまりにもキャパオーバーなこの情報たちは後々会議に提出することになるだろう。
そんなことよりも。
「ねえ、しんぺい神」
「ん？何？」
「この子、いやこの人恐らくもう成人だ」
「え？！」
「あと、太ももに痣があるっぽい。診てもらっていい？」
「え？分かった」
しんぺい神はごめんね、と言いながら布団をゆっくり捲り、ぶかぶかな部屋着ズボンの裾を足の付け根まで捲る。
不器用に巻かれた包帯をするすると解くと出てきたのは手のひらより大きいくらいの魔法陣の焦げ跡。まるで火傷した痕のように茶色くなっていた。
「それ、急に付いたっぽい。詳しくは会議で話するけど、もしかしたらその魔法陣がきっかけかもしれない」
「こんなくっきり魔法陣がついてたらね、ちょっと考えものだなあ」
魔法陣などの専門はやはり博識なエーミールだろうか。
俺は根こそぎ体力を持っていかれ、彼女の隣のベッドに倒れ込んだ。
「はー、つかれた」
「今のうちに休んどきなよ、明日の会議になったらまた大変だよ」
「そうする、仮眠するわ」
「夕食は？」
「いらない」
「わかった、おやすみ兄さん」
シャッとカーテンが閉まり天井を見上げる。
あまりにも非現実的な"彼女の世界"の記憶。
そんなことがあっていいのだろうか、という結果になった。
明日の会議、大荒れしそうだな。
少しでも体力回復しとかないと、とゆっくり目をつぶった。
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ーーー - 好きです (3月13日 4時) (
レス) @page35 id: fc78fe5922 (このIDを非表示/違反報告)
マリン(プロフ) - 楽しい作品ありがとうございます！続きも楽しみにしてます。 (2023年3月27日 10時) (レス) id: 26248b9bea (このIDを非表示/違反報告)
なな - お米様抱っこ好きですw (2022年10月15日 21時) (レス) @page28 id: 7cadbb1f0e (このIDを非表示/違反報告)
スンドゥブ左衛門(プロフ) - 無名さんさん» お返事遅くなりました。どちらに掲載したのか等をお教えいただけるのでしたら、是非お願い致します。ﾂｲｯﾀとかでご連絡頂けると助かります。 (2022年8月7日 8時) (レス) id: 2b12ea7bfc (このIDを非表示/違反報告)
無名さん - 失礼します！僕今、おすすめの作品を紹介していて、作者様のお名前と作品を出してもよろしいですか！？こちらの作品僕大好きでして…ぜひ紹介したいんです！ (2022年8月6日 11時) (レス) @page35 id: ea8e66f22c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：スンドゥブ左衛門 | 作成日時：2022年6月14日 15時
