◇来客の多い部屋 ページ30
隔離病棟生活を始めて数日。
外から鍵をかけられ実質軟禁状態になり、暇を持て余すかと思っていたがそうでもなかった。
まずは軍医様に呼ばれ、健康診断と称してありとあらゆる検査をされた。医療機器も元いた世界と大差なく、すごいな、の気持ちで大型医療機器に吸い込まれていた。
手錠と足枷のせいでついた傷もちゃんと消毒しないとダメだからということで朝食後に毎日、医務室に通うことになった。そんなに大した傷では無いのだけれど、と言ったら怖い顔で怒られたのでもう言わない。
日中はいつも幹部だと名乗る方が誰かしら来るようになった。
はじめの日は鬱様だった。
暇やねんお話しようや、といらっしゃった。ケーキ買ってきたんやで、と丁寧にお皿まで用意して。
ちなみに、その日のおやつの時間にでたアイスはそっと冷凍庫にしまった。夜中の楽しみにするので。
彼は恐らく情報共有されているのだろう、私がω国にきて2ヶ月も経っていないと知っていて、ω国とは一体どんな国なのかを教えてくれた。
海もあり山もある恵まれた土地でω国の本拠地であるココを1歩出ると城下がとても栄えていること。自由度も高く住みやすいこと。ライフラインがしっかり整っている世界でも珍しい先進国であること。
話を聞いた限りでは、現代日本と同じくらいかそれ以上に発展しているらしかった。
次の日は背の高い瓶底メガネの方が来た。
「チーノって言います、よろしゅうお願いします〜」
ちょっと胡散臭さの残る彼はどうやら幹部の中では1番年下らしくとても腰の低い方だった。
その次の日は緑の人が来た。
「俺、ゾム。名前覚えてや」
ニヤリと笑った彼はイタズラ好きらしく、その日を境に暇さえあれば何かをしに顔を出してくれるようになった。でもきっと好意的では無いんだろうな、と思ってしまったのは彼の眼光の鋭さからだった。
その次の日は、牢で目が覚めた時にいた綺麗な格好をした男性が来た。
「エーミールと言います」
紅茶の香りがする彼は暇つぶしになればと幾つかの本を持ってきてくれた。
「貴方の使える言語が分からなかったのですが、読めますか？」
そう言われたのでパラパラと本を捲って確認すると、どの本もきちんと読めることがわかった。
『はい、読めそうです』
「そうですか、そしたらお貸ししますね。もし好きなジャンルがあるのでしたら言って頂ければ見繕ってきますよ」
『ありがとうございます、これらを読み終わったらお願いするかもしれないです』
久しぶりにゆっくり読書の時間がとれそうだ。異世界の小説がどんなものなのかも気になるところ。
私は卓上ライトがほしいと衛生兵さんにお願いするのだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1817人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ーーー - 好きです (3月13日 4時) (
レス) @page35 id: fc78fe5922 (このIDを非表示/違反報告)
マリン(プロフ) - 楽しい作品ありがとうございます！続きも楽しみにしてます。 (2023年3月27日 10時) (レス) id: 26248b9bea (このIDを非表示/違反報告)
なな - お米様抱っこ好きですw (2022年10月15日 21時) (レス) @page28 id: 7cadbb1f0e (このIDを非表示/違反報告)
スンドゥブ左衛門(プロフ) - 無名さんさん» お返事遅くなりました。どちらに掲載したのか等をお教えいただけるのでしたら、是非お願い致します。ﾂｲｯﾀとかでご連絡頂けると助かります。 (2022年8月7日 8時) (レス) id: 2b12ea7bfc (このIDを非表示/違反報告)
無名さん - 失礼します！僕今、おすすめの作品を紹介していて、作者様のお名前と作品を出してもよろしいですか！？こちらの作品僕大好きでして…ぜひ紹介したいんです！ (2022年8月6日 11時) (レス) @page35 id: ea8e66f22c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：スンドゥブ左衛門 | 作成日時：2022年6月14日 15時
