◆総統のお戯れ ページ1
夕食を済ませて少したった頃。
書記長であるトントンは総統室へと顔を出した。
「グルさん、言ってた仕事おわ…ってへんな、こら」
総統室の扉を開けると、ソファーに腰かけたグルさんとオスマン、更にはエミさんまでいた。
「今いい所なんだ、少し待っとけ」
「どんだけ待ってると思ってんですかねえ？なにやっとるんみんなして」
3人の目線の先には正方形の紙。そこには円やら模様やらが書かれている。これはもしかして。
「それ、古代術式の魔法陣やろ！？なにしとん？！」
「エーミールが面白いの見つけてきてな」
「できるかどうかも分からないですけれどね」
「ええやん、楽しそうやろ？」
グルッペンだけでなくオスマンまでもがやる気となればもう止められない。はぁー、と大きなため息をついたトントンはそのままどかりとソファーに腰掛けた。
「で？なんの魔法陣やねん」
「今1番必要としているものが出てくる魔法陣やって」
「この文献のこれです」
エーミールが差し出してきたのは随分と年季の入った古文書のような分厚い本だ。開かれたページには「欲するものを呼び出す術」と書かれている。
「よし、出来ためぅ」
あまりにも複雑な魔法陣を書き終えたオスマンはふぅとソファーもたれかかった。
「あとは血と塩となんだったか？」
「ハーブと酒ですね」
「なんやよく分からん品揃えやな」
「魔法陣とは言いますが一種のおまじないのようなものですからね」
魔法陣の中心に小皿を置き、塩に酒をかけてローズマリーの葉をのせる。ハーブはなんでもいいのかい。
「血は俺のでいいか？」
「構いませんよ」
「言い出しっぺのグルッペンがやるべきやね」
「やっぱり言い出しっぺお前かい」
ペーパーナイフで指先を切り、血を数滴垂らす。
じゅわりと塩に混じりほんのり赤くなった小皿の中身が次第にフツフツと沸いてきた。
「は？なにこれ」
「火を使ってもないのに沸くんですか」
「なん、これ大丈夫なんか？」
「わからん」
何が正解かも分からず眺めていると突如として激しく発光しだした魔法陣。目も開けていられないほどの光に4人が目をつぶった瞬間、ポンっとシャンパンの蓋が開くような音がした。
光がおさまり、目を開けるとあら不思議。
そこにあった小皿も魔法陣も無くなっているではありませんか。残っているのは少し焦げ臭い紙。魔法陣を書いていたものだろう。
「え、どうなったん？」
「必要なものが出てくる魔法陣じゃなかったか？」
「失敗ですかね…？」
「被害がないから良かったものの…はぁ…」
とりあえずその夜は解散となった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1815人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ーーー - 好きです (3月13日 4時) (
レス) @page35 id: fc78fe5922 (このIDを非表示/違反報告)
マリン(プロフ) - 楽しい作品ありがとうございます！続きも楽しみにしてます。 (2023年3月27日 10時) (レス) id: 26248b9bea (このIDを非表示/違反報告)
なな - お米様抱っこ好きですw (2022年10月15日 21時) (レス) @page28 id: 7cadbb1f0e (このIDを非表示/違反報告)
スンドゥブ左衛門(プロフ) - 無名さんさん» お返事遅くなりました。どちらに掲載したのか等をお教えいただけるのでしたら、是非お願い致します。ﾂｲｯﾀとかでご連絡頂けると助かります。 (2022年8月7日 8時) (レス) id: 2b12ea7bfc (このIDを非表示/違反報告)
無名さん - 失礼します！僕今、おすすめの作品を紹介していて、作者様のお名前と作品を出してもよろしいですか！？こちらの作品僕大好きでして…ぜひ紹介したいんです！ (2022年8月6日 11時) (レス) @page35 id: ea8e66f22c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：スンドゥブ左衛門 | 作成日時：2022年6月14日 15時
