✦ ページ32
・
「ショッピ、助けたらしいやん」
「え、」
「なんかあいつ、回復したらお前に逢いに行くって煩いねん。……だから暇やったら医務室にでも会いに行ってくれ」
Aはきょとんとした。そのあと、つい笑う。コネシマは何笑ってんねんと怒るが、Aは思わず言った。
「ショッピさんのこと、凄く好きなんですね」
ショッピとコネシマの関係性なぞ、Aは知らない。ただ先程のコネシマの発言から考えるに、ショッピが彼にとって大切な人だと言うことは明らかだ。コネシマは今のAの発言を聞いて大きく目を見開き、 はァ！？ なんてあからさまに動揺する。彼が初めて人間らしく見えて、Aは少しほっとした。
コネシマは少し落ち着いたAを一瞥すると小さく咳払いをして、低い声で言う。
「ついたで」
「えっ、総統室ってこの扉の先ですか」
「ああうん。どうりでデカいやろ？」
どうりでデカい、そう思った途端に見透かしたみたいにそういったコネシマ。先程よりも心を開いてくれたらしい、彼の方から会話を繋げてくれそうな節が見えた。Aが勝手に嬉しくなっていると、コネシマはノックを3回してから、Aの心の準備ができる前に扉が開く。Aは悪いのは重々承知の上、正直、こういう気遣いが出来ないあたりモテないんだろうなあと思った。
氷のように凍てつく空気感で中央に座っていたのは、如何にも私が総統ですと表情で示す金髪の男だった。隣には艶のある黒髪の男が、緑の軍服を着て依然として立っている。四つの赤い目がAをジッと見て離さない。Aの足が張り付いたみたいに動かなくなった。
「おい、行くで」
「ぁ、は、はい」
コネシマがAの片手を掴んで歩き出す。手錠がかけられているから、自然と両腕ごと前に持っていかれて、転けるみたいに一歩を踏み出した。コネシマはAに聞こえるか聞こえないかくらいの声でAに耳打ちする。
「立場を弁えろよ、お前の思う最高敬語で話せ。ただあんま気ィ張んねぇでも大丈夫やから」
「は、はい……」
威厳とした態度の二人に威圧されながら、総統らしき人物の前に立つ。およそ1メートルほどの距離だろうか。
男は薄く笑った。
「やあ、こんにちは。私はグルッペン･フューラー、この国の総統だ。こっちは、」
「トントンです、書記長やらせてもらってます」
「ぇ、あ、お初にお目にかかります。思依A、一般メイドです」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 258人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
にのやも(プロフ) - モモモさん» きゃあ！ そんなこと言われたら沢山書きたくなっちゃいます！🥹 ご期待に添えるようなるべく余談回挟めるよう頑張ります！🙇🏻♀️" (4月5日 8時) (
レス) id: 4e49335954 (このIDを非表示/違反報告)
モモモ(プロフ) - 展開が一つ一つ丁寧で面白くてもう全部読みきっちゃいました！3章以内で終わるのか...もっと書いてもいいんですよ🥹（わがまま） (4月4日 21時) (レス) id: 90bb9ca7b2 (このIDを非表示/違反報告)
にのやも(プロフ) - 梓月さん» コメント有難う御座います！🙇🏻♀️" 是非命狙われてる夢主ちゃんを守ってあげてください……！👊🏻✨ (4月1日 17時) (レス) id: 4e49335954 (このIDを非表示/違反報告)
梓月(プロフ) - ぐいぐい来られると困っちゃうのあまりにも可愛い…守護らねば (3月31日 21時) (レス) @page42 id: c21b6e797e (このIDを非表示/違反報告)
にのやも(プロフ) - 滅華狂さん» あの場面はとっても慎重に書いたので、そう言って貰えて作者冥利に尽きます！😭✨ これからも更新頑張ります！🙇🏻♀️" (3月27日 11時) (レス) id: 4e49335954 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：にのやも | 作成日時：2024年3月24日 17時
