✦ ページ29
・
「なんやこれ」
「さあ。起きたら出来てて」
「昨日まではなかったんやな？」
「恐らく」
彼は頭を抱えた。全くもって原理が分からないのだ。そも、獣と人間が混ざりあって発生した獣人という存在だが、彼らの発生条件も発生理由も未だ解明されていない。かつての実験で獣と人間がコウビを行っても子は生まれないことは科学的に証明されている。要は、未だこの世界は不明瞭に満ちているのだ。
どんな現象が起こっても、化学の力があまり信じられないこの世界じゃ、そういうモノか……としか言いようがない。
「兎に角、次にAがころされた場合、生き返る確証はないよね。だからなるべく単独行動はしないこと。Aを狙ってる輩が撃ってきたのは二人だけの時やった。多分、向こうも大人数じゃ犯行に及びにくいんやろ」
「ですね……」
Aが静かに唸って、沈黙が広がる。互いに脳の機能をフル稼働させていたが全く原理が分からないので、今日の密議はお開きにすることになった。
「一旦今日は終わるか、仕事やろお前も。メモは俺が貰っていい？」
「はい、勿論です」
そう言って図書館を後にする。役職柄向かう方向が違ったので、シャオロンはAの次の仕事場まで護衛して一緒に進み、寮に無事到着。周囲に人がいることを確認してから、シャオロンは去っていった。Aは彼が見えなくなるまで深く礼をした。
ギリギリ休憩時間内だったので一度部屋に戻って先程まとめたことをノートにでも纏めておこうと思う。
部屋の鍵を開けた途端、ふわっと、強い強い、アーモンドの香りがした。熱気がAを襲う。無慈悲に、扉が締まった音。
「っ！？」
Aは咄嗟に口を抑えて足から崩れ落ちた。強いアーモンドの香りがAを襲う。だめだ、力が出なくて扉をあけようにも手が届かない。そしてどうも、暑苦しい。冬なのに、真夏のような暑さだ。
これはやばい、頭ががんがんと痛い。どうしよう、どうしよう！？ めまいがする、目のまえがぐるぐるとまわっていて、ああだめだきっとたすからない、こんどこそはしぬんだ、わたし、どうしよう！？！？ かおがあつい、きっとまっ赤になってる。なにをすればいい、いきかえらなかったときのために、なにをのこしておけばいい！？
「ぉ゛ぇ」
はいちゃった、だめだもうだいにんぐめっせーじものこせないや。しぬねこれ。いやあどうしよう！？ あやば、いきできない。
し、ぐ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 258人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
にのやも(プロフ) - モモモさん» きゃあ！ そんなこと言われたら沢山書きたくなっちゃいます！🥹 ご期待に添えるようなるべく余談回挟めるよう頑張ります！🙇🏻♀️" (4月5日 8時) (
レス) id: 4e49335954 (このIDを非表示/違反報告)
モモモ(プロフ) - 展開が一つ一つ丁寧で面白くてもう全部読みきっちゃいました！3章以内で終わるのか...もっと書いてもいいんですよ🥹（わがまま） (4月4日 21時) (レス) id: 90bb9ca7b2 (このIDを非表示/違反報告)
にのやも(プロフ) - 梓月さん» コメント有難う御座います！🙇🏻♀️" 是非命狙われてる夢主ちゃんを守ってあげてください……！👊🏻✨ (4月1日 17時) (レス) id: 4e49335954 (このIDを非表示/違反報告)
梓月(プロフ) - ぐいぐい来られると困っちゃうのあまりにも可愛い…守護らねば (3月31日 21時) (レス) @page42 id: c21b6e797e (このIDを非表示/違反報告)
にのやも(プロフ) - 滅華狂さん» あの場面はとっても慎重に書いたので、そう言って貰えて作者冥利に尽きます！😭✨ これからも更新頑張ります！🙇🏻♀️" (3月27日 11時) (レス) id: 4e49335954 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：にのやも | 作成日時：2024年3月24日 17時
