✦ ELIXIR ページ20
・
「っうぎゃ！」
目が覚めるとそこは自室のフローリングの上で、目の前に星が舞っていることに気がついた。ベッドから落ちたらしい。Aは随分間抜けな声を出すと、上半身を起こす。足はしっかりと縫われていて、空はちゃんと朝で、Aは何が起こったかわからなかった。
あれ、確かに私はあの時……
死んだ感覚を、鮮明に覚えている。
Aは少し怖くなった。ラノベとかでよくある不死身人間なんじゃないかとAは迷って頭に手を当てた。その時にずれた部屋着から覗いた手首に、くっきりと、黒い数字があることに気がつく。
█27
なんだろう、この数。
「27……？」
Aは頭を捻った。ついさっきまでこんなタトゥーは無かったはず。先程自分が本当に死んだと仮定すると、それがトリガーとなって浮き出たものに違いない。というか心当たりがそれ以外に見当たらない。Aは困惑しながらベッド横の時計に目を移すと、時刻は6:00を指していて、遅刻の可能性大だった。名前は慌てて身支度をして、時間ギリギリに部屋を出る。
「すみませ、遅刻しましたっ」
「あら、顔真っ赤よ、まずは落ち着きなさい」
清水は相変わらず穏やかな笑みを浮かべてAを迎えた。Aはその瞬間ハッと何かを思い出して、こういうなろう系の展開ならお決まりの時戻りが起こってるかを検証するべく、恐る恐る声を上げた。
「すみません、今日って何日ですか」
「今日？ 15日よ」
「エ゛ッ」
Aは驚く。まさかの、時が進んでいるとは。最後に記憶が無くなった時、あの瞬間を便宜上死んだ時とするならば、そこからの記憶は無論無い。あの後普段通りなら食堂で夕食をとり、自室に戻って就寝というルーティンのはずだ。
だがその記憶が一切ないということは、その間の出来事がスキップされたか、ルーティンをしたが記憶が抹消されているかの二択しか考えられない。
思い返せば、リビングの机の上に処方箋が置いてあったような気がする。急いでいて視野が狭くなっていた。
清水はAの可笑しな態度に首を傾げると、朗らかに言う。
「疲れてるのね、昨日は色々あったようだし。シャオロン様から報告は頂いてるわよ、物騒ね」
「(事件についてはちゃんと周知されてる……)」
ということはこの件について聞く相手の最適解はシャオロンである。Aは今日絶対にシャオロンをとっ捕まえて話をしようと固く決意するのであった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 258人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
にのやも(プロフ) - モモモさん» きゃあ！ そんなこと言われたら沢山書きたくなっちゃいます！🥹 ご期待に添えるようなるべく余談回挟めるよう頑張ります！🙇🏻♀️" (4月5日 8時) (
レス) id: 4e49335954 (このIDを非表示/違反報告)
モモモ(プロフ) - 展開が一つ一つ丁寧で面白くてもう全部読みきっちゃいました！3章以内で終わるのか...もっと書いてもいいんですよ🥹（わがまま） (4月4日 21時) (レス) id: 90bb9ca7b2 (このIDを非表示/違反報告)
にのやも(プロフ) - 梓月さん» コメント有難う御座います！🙇🏻♀️" 是非命狙われてる夢主ちゃんを守ってあげてください……！👊🏻✨ (4月1日 17時) (レス) id: 4e49335954 (このIDを非表示/違反報告)
梓月(プロフ) - ぐいぐい来られると困っちゃうのあまりにも可愛い…守護らねば (3月31日 21時) (レス) @page42 id: c21b6e797e (このIDを非表示/違反報告)
にのやも(プロフ) - 滅華狂さん» あの場面はとっても慎重に書いたので、そう言って貰えて作者冥利に尽きます！😭✨ これからも更新頑張ります！🙇🏻♀️" (3月27日 11時) (レス) id: 4e49335954 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：にのやも | 作成日時：2024年3月24日 17時
