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 「要は、偏見ですか。やっぱり人間も獣人も根本は同じなんですね」
 「……ごめん。人間全員がそうじゃないって分かってる。やけどここにいる奴らって、基本みんな人間に大切なモン奪われてるから」

 感傷に浸るみたいに目を伏せる女々しい彼ら。Aはその様子がなんだか気分が悪くて、まるで自分たちだけが辛いみたいに、と思って、居ても立ってもいられずに呟く。


 「でもそれって、人間サイドも同じじゃないですか」
 「……え?」
 「私の両親も獣人さんに殺されました。うちの家系、運が悪いというか。今だって私捕虜にされてますし……」

 黙りきる一同。皆々確かにと思った。薄々勘づいてはいた。この人間・獣人争い問題は、きっとこの先も互いに不毛で、無意味で、そして絶えないものだと。比較的客観視点を持つAは、誰もが分かっていても観ようとしない現実を、容赦なく告げた。そして、明るく笑って手を打つ。

 「だから、共存すればいいんですよ。人間は頭脳、獣人は運動神経。どちらも対照的に優れた能力を持ってる。価値観が違うとか言いますけど、人間の私からすると違いが分かりません。どちらの種族も、歴史だけを見て、現実を見てない。分かる気がない。そしてその逃げを相手の所為にして対立する。……生産性がなくないです?」

 Aは思っていたことをついにぶちまけてやって、更に気分が良くなっていた。喉の奥につっかえていた物事の本質とか本音が全て流れ出たような気がした。けれどこれじゃ口だけだ、それを実現化する条件とメリットを視覚化しなきゃ。
 Aは流れに身を任せて思いを吐き連ねてしまったことをちと後悔して、首を振った。

 「……すみません! 無理難題ってことは分かってます、これは飽くまで私の願望です、今の、記憶から抹消し」
 「私もそう思う! 獣人も獣と人間のハーフってだけで、人間の血は入ってるし、兄弟みたいなものよね」
 「うん! 私も思ってたけど、言えなかった……。Aさん凄いよ、思ってたことを言えるって」

 みんな! とAの目は潤んだ。


 「A。」
 「しゃ、しゃおろんさ……」

 Aはおどろおどろしていたが、それでも真っ直ぐなその視線にシャオロンは弱ってしまった。


 「やるなら、絶対やりきれよ」

 シャオロンは屈託もなく、困ったみたいに笑う。


 「俺で良かったら、力になる」





 止まっていた歴史が、動き出した。


 
 

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にのやも(プロフ) - モモモさん» きゃあ! そんなこと言われたら沢山書きたくなっちゃいます!🥹 ご期待に添えるようなるべく余談回挟めるよう頑張ります!🙇🏻‍♀️" (4月5日 8時) (レス) id: 4e49335954 (このIDを非表示/違反報告)
モモモ(プロフ) - 展開が一つ一つ丁寧で面白くてもう全部読みきっちゃいました!3章以内で終わるのか...もっと書いてもいいんですよ🥹(わがまま) (4月4日 21時) (レス) id: 90bb9ca7b2 (このIDを非表示/違反報告)
にのやも(プロフ) - 梓月さん» コメント有難う御座います!🙇🏻‍♀️" 是非命狙われてる夢主ちゃんを守ってあげてください……!👊🏻✨ (4月1日 17時) (レス) id: 4e49335954 (このIDを非表示/違反報告)
梓月(プロフ) - ぐいぐい来られると困っちゃうのあまりにも可愛い…守護らねば (3月31日 21時) (レス) @page42 id: c21b6e797e (このIDを非表示/違反報告)
にのやも(プロフ) - 滅華狂さん» あの場面はとっても慎重に書いたので、そう言って貰えて作者冥利に尽きます!😭✨ これからも更新頑張ります!🙇🏻‍♀️" (3月27日 11時) (レス) id: 4e49335954 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:にのやも | 作成日時:2024年3月24日 17時

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