お姫様の罠 ページ8
「だーかーらーぁ!なんで私はこのバンドに入れないの!?」
何度同じやり取りをすれば気が済むのだろう、この女は。
「あの…おれ達はもう6人で成立してるので…新しくパートを増やすつもりはないですし、吉祥寺さんがドラムをやりたいだけなら軽音楽部に…。」
「絶対に嫌!!」
きんとき君が必死に波風立てないように丁寧に断ってるのになんでわかんないのかな。ハッキリ言わないと伝わんないってこと?
「…あのさー、吉祥寺サン。きんちゃん達は真面目にバンド活動やってるんだよね。今更新メンバー加入とか受け入れられないだろうし…何より、吉祥寺さんがシャケ君よりドラム上手いとは思えないんだけど。」
「…。星崎さんには関係なくないですか?」
「関係あるよ。カルアは皆のマネージャーだもん。」
…険悪な雰囲気になってきたな〜、ワクワクしちゃう。
「…そういうことなら、シャークん君と吉祥寺さんで勝負したらどうかな?」
私の言葉に吉祥寺愛海は反応したように見える。
「そして、勝った方をこのバンドに迎え入れる…それでいいんじゃない?」
吉祥寺愛海の目的はスマイル君。となれば、シャークん君は手放すべきだけど…さぁ、どう出る?
「…そう、ね。そうしましょ!私は、このバンドに入りたいわ!」
「じゃあ決まりですね。勝負はニ週間後…全校生徒の前で各々ドラムを披露して、良かったと思った方に投票してもらう…それで構いませんか?」
「ええ、いいわよ!絶対に勝ってみせるから…覚悟しなさい!」
そう言って吉祥寺愛海は部室を出て行った。
「ははっ、チョッロ〜。シャークんに勝てると思ってんのかな。」
「余程自信があるのか、それともバカなのか…。」
馬鹿にしたように笑う瑠玖と呆れたようなスマイル君に、私も思わず笑みが溢れる。
「馬鹿な子は扱いやすくて助かるね。…まあ、あの子はシャークん君と勝負するまでもなくまた転校しちゃうだろうけど。」
「吉祥寺さんに勝負するようにのせたのもAの作戦?」
問いかけてくるNakamu君に私は頷く。
「うん。吉祥寺さんは多分家には自前のドラムがあるだろうけど…学校で練習する時は軽音楽部のを借りるしかない。だから…そこを狙おうかなって。」
「付き合うよ、A。」
「早速仕掛けるの?」
きんとき君にそう言われ頭を悩ますも、すぐに答えは出た。
「んー…時間かけても無駄だし、仕掛けてみようかな。」
吉祥寺愛海がどんな反応するか…楽しみだなぁ。
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作者名:さくらもち | 作成日時:2024年3月20日 17時