お姫様と唯一無二の騎士様 ページ12
「大丈夫なのかよ、こんなに赤くなる程強い力で叩かれて…。」
「クラスメイトの女の子達には見られたから結果オーライかな。」
「よく言うよ…。わざと見せたくせに。」
―――そう、私は2限目と3限目の間にクラスメイトの女の子達がメイク直しにお手洗いに来ることを知っていた。だからわざとその時間にお手洗いに行ったんだ。吉祥寺愛海が接触してくると踏んで。
「でもカッターキャーじゃなかったのは残念。」
「お手洗いでカッターキャーしても同性しか来れないしな…。」
「予定とは違うけど、これで吉祥寺さんの信頼はそこそこ落ちた筈。」
思ったよりやり甲斐ないなぁ。なにもかも中途半端なミーハーよりは骨があると思ったけど、大したことないや。
「…あんまやり過ぎんなよ?Aの体に傷がつくの、本当は嫌なんだから…。」
そう呟くスマイル君の目は、本気で私を心配してる目だった。…スマイル君は別に私がこうして人を陥れることに関して口を出すことはない。でも、スマイル君はスマイル君で私を心配してくれてるんだ…。
「…うん、ごめんね。」
「Aは悪くないよ。俺が、ただ…Aを守れればいいんだけど…。」
「スマイル君は充分私を守ってくれてるよ。」
「そうかな…。」
腫れが引いたので氷のうを放すと、スマイル君と視線が絡む。
「…A、キスしていい?」
「学校だよ?」
「どうせ誰も来ねぇしいいだろ。」
最初から聞く気ないじゃん、と思いながら私も拒むことは出来なかった。
「んっ…もう、誰も来ない保証なんてないのに…。」
「もう授業始まってるし、職員会議がそんなすぐ終わるとも思えないんだけど?」
「む〜、ああ言えばこう言う…。」
「Aは真面目だねぇ…。」
真面目とかじゃなくて、人に見られてたら困るんだよね。私とスマイル君が付き合ってることは同学年なら大体知ってるけど、それをダシに脅されたりしても面倒だし。…まあ、実際そんな事態になったら脅された時点で黙らせるけど。
「それで…そろそろ吉祥寺愛海にとどめを刺す?」
「まだちょっと弱いなぁ。さっきの件、女子達には伝わるだろうけど、男子は見てないし、信じるかどうかもわからない。もうちょっと泳がしたいな。」
「また一人になる時間を作るってこと?今度こそ何してくるかわかんねぇぞ…。」
「過激なことやってくれたら好都合だよ。私は可哀相な被害者演じてればいいだけだからね。」
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作者名:さくらもち | 作成日時:2024年3月20日 17時