空の街

36 ページ36

部屋に入れば須藤はビールやおつまみが広げられたローテーブルを片付け始めて


「何飲みます？お茶？ビール？」

「…すぐ帰るから大丈夫、」

「……」


私はソファに座らされて
須藤は隣じゃなく斜め向かいに距離を取って座って

私はゆっくり息を吸った。



「…今日で一カ月、だよね…？」

「明日」

「えっ嘘！？ごめんじゃあ明日に…っ！」

「いいっすよ結果変わんないでしょ」

「……うん、」


須藤は何もないローテーブルを見つめていて


「仮恋人期間楽しかったです！…最初の、方は…」


「……」


「ごめん私、最近ずっと避けるみたいな態度で……、
何ていうか段々、須藤が須藤じゃないみたいに思えて
きちゃって……、でもそれは須藤のせいじゃなくて、
なんだけど…、何ていうか……、、」


「ストレートに言って下さい」


「……、、…やっぱり私須藤とは、付き合えない…、
ごめん。」



頭を下げれば、…はい。と静かな声が聞こえて
胸のあたりがぐちゃぐちゃして唇を噛んだ



「逆にこっちこそしなくていー思いさせて…」


「いや！須藤は悪くない！何も本当に…！」


「うん。んじゃっ、これからはまた同僚としてよろしくしてくれます？」


「……したいけど…、私…、」


ん？と作られた優しい顔を見れば目がじんわりと熱い


「須藤のこと人として絶対好きなんだけど、何ていうか今は近くにいると落ち着かなくなっちゃうっていうか、見られたら全身熱くなるしっ、触られたら何か心臓ドキドキするしっ、前は隣にいたらリラックスできたのに、何か今はすごい変で、」


「……………え？」


「こないだイベントで他の子と話してる姿見た時も、前まではそんなの何とも思わなかったのにイライラしたりむかついたりして最悪で意味わかんないし、でも違うの！須藤は今までいっぱい助けてくれたし、優しいし、人として尊敬する所いっぱいあるし悪くないっ、だからこれは絶対私のせいでっ、だから私…っ、、」


「わたし……？」


「っっ須藤の事これ以上嫌いになりたくない…っ！！」


「……………嫌い…」


「そばにいると変になりたくないのになるっ、でも須藤は悪くないし、でも私これ以上嫌いになりたくなくてっ
一緒に普通に前みたいに働きたいし、だから今日全部正直に話しにきたっ！」


「……」


「こんなの須藤自身に言う事じゃないのわかってる、
けど、もうわかんなくて……、」


言葉にすれば泣けてきて、
申し訳なくて、どうしようもできない

37→←35〜須藤side〜

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す