空の街

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「おはよーございまーす今日もギリギリっすね〜」


出勤すれば金曜のあの須藤はいなくて、いつものフラットな須藤が背中でパソコンを打っていてホッとした


「…おはよ、」

「ワイン二日酔い大丈夫でした〜？」

「あ、うん大丈夫………え」



パソコンを打つ手が止まったと思ったら
ゆっくりと振り向いて、私の顔をじっと見て


っ……、


「何、」

「昨日2本目あけた？」

「え……？えっ何で見て…！？」

「かおむくんでるー」

「……」

「あははは！やった正解〜」


あれから頭の中がぐるぐるして
紛らわせたくて結局全部飲み干せば味もわからなくて


「むくんだ顔ですみませんねぇっ！」


ドカッと椅子に座ればキュルキュルと椅子が近づいた


「…それからAさん」

「っ、もういいって…！」

「…スカート後ろ前っす。」

「っ！！」

「車先乗ってま〜す」


勢いよく立ち上がれば
笑った須藤を背に熱い顔のままトイレに向かった












駐車場、運転席で待っている須藤を見つけて
後部座席に乗り込んだ



「……何で後ろ？」


「………顔むくんでるんで」


「打ち合わせしながら行きたいんで横のがありがたいんすけどー」


「……、」



しぶしぶ助手席に移動すれば
前までは当たり前のこの距離でさえ近すぎる気がして

なのに、早く降りたいのに全然出発しない



「…早く出してよっ、」

「？シートベルト締めないと出発出来ないんすけど」

「っ、、」

「まだ酔ってます？」

「うるさいっ！」

「うわ逆ギレ〜むくんだ顔もかわいいですって」

「っ、！そういうのやめて調子狂うっ、」

「それはー…ちょっとは意識してくれてるって思っていい？」

「意識…？？」

「なわけないっすよね〜出発しま〜す」

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