空の街

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「お客さん、着きましたよ」

「……ん」


目を開ければタクシーの運転手さんが振り向いていた


「あぁ……あれ？」


タクシーを降りて家の玄関からふらふら歩いてソファに転がればスマホが鳴った


「もしもし……」

『家ついた？』

「すどー…？ついた」

『ひとり？』

「ひとりにきまってるじゃんばーか」

『バカはどっちだよ』

「？？」

『じゃメイク落として寝て下さいよ』

「……………うん」

『……何食ったんすか』

「いたりあん。食べ放題のぱすたとかぴざとか…」



電話しながらいつもの天井を見上げれば
お酒が入ってるからかすぐに涙が滲んで



『俺は〜専務の知り合いの高級フレンチで三つ星レストランのコースディナーでした〜』

「マウントかっ」

『ふふふっ、やっぱミシュランすごいっすね〜今度行きましょ』

「おごり〜？」

『え？何言ってんすか先輩』

「そうやってこういうときだけ後輩だしてくる〜！」

『後輩っすもん』


須藤のいつもの明るい声に安心すれば
だんだんふわふわ重たくなって


『……眠い？』

「ん……でもめいく…」

『いいっすよ明日で』

「でも…」

『目閉じて。おやすみなさい』

「すどー…」

『寝るまで切らないんで』

「……」

『……』



『………おやすみなさい』

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