笑顔を作るのも大変なのよ ページ10
○そんな彼女と後ろの子達の表情はとても困惑しているように見えた。まあ、当然の反応だろう。だって今の私は彼女達が知っている私ではないからだ。
「ええそうよ。おはよう、ルアンナ」
「お、はようございます……。お姿が変わられたので、一瞬A様であることが分かりませんでした」
そう、私は見た目を変えたのだ。
エーラット嬢はまるで古い少女漫画でありがちなお嬢様の見た目をしていた。長い髪を巻いて縦ロールを沢山作り、学園長の孫と言う特権を利用して自分だけフリルをふんだんに使った改造制服を身に纏っていた。
ただでさえ我儘娘と言うレッテルを貼られていると言うのに。筋金入りの目立ちたがり。それがまた周囲からの悪評を作る原因となった。
そんな彼女の姿になる度胸など私には無く。と言うか、そもそも受け入れられる訳がない。私はこれから大人しく穏やかで、慎ましやかに生きると決めたのだ。極力目立つことは避けたい。
だから私は長かった髪をばっさりと切り、以前と同じショートヘアにして改造制服も捨て普通に戻した。これでようやく私もこの学園に溶け込めるだろう。
「しかし一体何があったのですか？ 体調を崩されてお休みなさっていたのですよね……？」
「お元気になられたのはとても喜ばしいことですけど、まさかお姿がお変わりになるなんて……驚きましたわ」
「え、ええとそれは……じ、実は少し前から、イメチェンをしてみたいと思ってたのよ」
そう質問されることは分かっていたけれど、良い言葉が思い浮かばず私は苦笑いを浮かべながら適当に返した。が、皆納得がいっていないみたいで首を傾げてしまった。まあ信じられないだろうね。エーラット嬢の性格からしたら、絶対に変えることはないと思っていただろうから。
ちなみに、登校するのはおよそ一週間ぶりになる。私が目を覚ましたのは先週の中ほどでその気になればすぐにでも登校出来た、のだが。前にも言ったように心と頭の整理が必要で、それで精神的にいっぱいいっぱいだったのでとてもじゃないが学園に通う余裕なんてなかった。なので一応療養も兼ねてお休みをしていた。つまり仮病を使ったのだ。
その後私は彼女達と軽く会話をしてから、それでは御免遊ばせ、と言った感じでそそくさとその場から逃げる。後をついてくる様子はない。それにほっと胸を撫で下ろす。
そしてようやく辿り着いた昇降口で周りに気付かれないように溜め息を吐く。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 154人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
抹茶ちよこ(プロフ) - かぼさん、お久し振りでございます。いつもいの一番にコメントして下さりありがとうございます✨よくある題材で設定が設定なので今までの作品に比べ糖度は低いですが、私らしく物語を紡いでいきたいと思っております。最後までお付き合い下されば幸いでございます。 (1月18日 8時) (
レス) id: 68848dd40a (このIDを非表示/違反報告)
かぼ(プロフ) - 新作おめでとうございます✨初めてお見かけする雰囲気のお話に、今から続きが待ち遠しさと楽しみでいっぱいです(*´ ‐ `*)気温の変動が激しい時期ですので体調崩されないようお気をつけてお過ごしくださいませ。 (1月16日 22時) (レス) @page8 id: 36a6e4e509 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2024年1月16日 20時
