どうしてこうも ページ49
○しかもその音がどんどん大きくなってきていることに気付いた。此方に近付いている。もしやこの場所を知っている誰かがやってきたのか。
マズいな。このままでは鉢合わせしてしまう。しかし残念ながら此処を出入り出来る道は一つ、声が聞こえてくる方向にあるものだけだ。出来れば出会いたくないけれど仕方ない。私はもう充分癒されたから此処は来た人に場所を譲ろう。さりげなくすれ違って帰るとするか。
「すると大先生がな──」
「ふはっ、なんやそれ」
──いやちょっと待て。
聞き覚えのあるそれに私の胸が一層ざわつき始める。私の記憶が正しければ、この二つの声の主はおそらく。脳内にその姿が過ぎる。
やばい。非常にやばい。ああ、赤の他人だったならどれほど良かったか。よりにもよって、絶対会いたくない人物リストにある二人だなんて。運が悪過ぎる。
こうなっては話が違う。すれ違うのも嫌だ。けど此処には他に逃げ道はない。
「……ッ！」
フル回転させた頭の中に、ある思い付きが浮かんだ。そうだ、隠れよう。幸いなことに此処には身を隠せそうな場所がある。
私はガサガサと急いで茂みの中へ足を踏み入れ、しゃがめば丁度体が隠れそうな場所を見つけると静止する。此処ならあっちからじゃ見えないだろう。この行動が吉と出るか凶と出るか。もう後戻りは出来ない、これでやり過ごすしかない。見つからないことを願うばかりだ。
「おー、お前らお待たせ。腹減ったやろ？」
「はいはい、今皿に入れるから待ってや」
バクバクと心臓を高鳴らせながら息を潜めていると例の二人がやってきた。危なかった。一足遅かったら見つかっていただろう。
二人がそう言うと今までのんびりしていた猫達が一斉に動き出す気配を感じ、にゃあにゃあと鳴き始めた。私は見つからないようにそっと茂みから顔を出す。猫達に囲まれながら、持参してきたらしい半透明の袋をガサガサと鳴らす二人の男子生徒。
水色頭の眼鏡と茶髪でアメジストの瞳。間違いない。生徒会メンバーのチーノ様とショッピ様だ。
二人が袋から何かを取り出していく。遠目でよく見えないけれど、見た目や二人の言葉からしてその正体は何となく察した。おそらく猫達の餌だろう。二人はその袋や缶詰めの口を開けて餌皿へ中身を出していく。すると我先にと猫達が其処へ群がり餌を食べ始めた。
──まさか、あの二人があの子達の世話をしていたなんて。何と言うか、意外だ。
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抹茶ちよこ(プロフ) - かぼさん、お久し振りでございます。いつもいの一番にコメントして下さりありがとうございます✨よくある題材で設定が設定なので今までの作品に比べ糖度は低いですが、私らしく物語を紡いでいきたいと思っております。最後までお付き合い下されば幸いでございます。 (1月18日 8時) (
レス) id: 68848dd40a (このIDを非表示/違反報告)
かぼ(プロフ) - 新作おめでとうございます✨初めてお見かけする雰囲気のお話に、今から続きが待ち遠しさと楽しみでいっぱいです(*´ ‐ `*)気温の変動が激しい時期ですので体調崩されないようお気をつけてお過ごしくださいませ。 (1月16日 22時) (レス) @page8 id: 36a6e4e509 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2024年1月16日 20時
