此処最近で一番幸せな時間 ページ48
○愛情を込めて優しくすると猫達も気持ち良さそうに目を細めてくれて私にその身を委ねてくれる。その姿に自然と口元に笑みが零れる。
猫がこんなに癒しをくれる存在だとは思わなかった。以前では動物はおろか、犬猫すらほとんど触れることがなかった生活をしていたから。こんなに人間に慣れて、且つ懐く様を見ると飼いたくなる気持ちも分かる気がする。
今まで特に猫派とか犬派とかはなかったんだけど、これは猫派にならざるを得ないと思う。それほどまで私の心はこの子達に射止められてしまっていた。
「そう言えば……今日は居ないのかな」
私はキョロキョロと周りを見回してみる。が、残念ながら目的の姿を捉えることは叶わなかった。
此処には私が一等可愛がっている子がいる。全身真っ黒な猫ちゃんだ。太陽の光を弾くその綺麗な毛並みや静かに香箱座りするその姿のミステリアスな雰囲気に惚れてしまったのだ。
是非とも仲良くなりたい。そう思い試しに近付いた所、何とあちらも逃げたりせず私のことを受け入れてくれたのだ。あまりベタベタと触られるのは嫌がるだろうかと最初は軽く撫でるくらいだったけれど、最近ではもう向こうから撫でろと催促が来るぐらいになった。好きなだけもふもふさせてくれる。彼とかなり親密になれたようでとても嬉しい。
ここまで懐いてくれるとなれば、もう夢中にならざるを得ない。だから今の私は最早その子を目当てに此処に来ていると言っても過言ではない。
しかしやっぱり野良は野良。この様子を見るに、どうやらいつも此処に居る訳じゃなさそうだ。今頃何処か別の場所でゴロゴロしているんだろうか。
居なかったのは非常に残念。けれど猫と言うのはそう言うもの。気紛れで気儘。決して人間の都合で動いてはくれない。だからそれに怒った所で無駄である。寧ろそんな所が好きと言う人間の方がきっと多いだろう。
ならまた今度。次に来る時に会えたらいいな。そう思いながら私は別の子をもふもふさせてもらう。
そうだ、今度は猫用のご飯でも持ってこようかな。別にもっと懐いて欲しいからじゃなくて、いつも癒してくれるそのお礼として。あ、そう言えば。ペット用品は何処に売っていただろうか。見たことあったかなあ。
「──」
「──」
なんて考えていたその時、遠くの方から不意に何かが聞こえてきた。耳を澄ましてみるとそれはどうやら話し声のようで。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 154人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
抹茶ちよこ(プロフ) - かぼさん、お久し振りでございます。いつもいの一番にコメントして下さりありがとうございます✨よくある題材で設定が設定なので今までの作品に比べ糖度は低いですが、私らしく物語を紡いでいきたいと思っております。最後までお付き合い下されば幸いでございます。 (1月18日 8時) (
レス) id: 68848dd40a (このIDを非表示/違反報告)
かぼ(プロフ) - 新作おめでとうございます✨初めてお見かけする雰囲気のお話に、今から続きが待ち遠しさと楽しみでいっぱいです(*´ ‐ `*)気温の変動が激しい時期ですので体調崩されないようお気をつけてお過ごしくださいませ。 (1月16日 22時) (レス) @page8 id: 36a6e4e509 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2024年1月16日 20時
