思い知らされる ページ39
「俺らがあんなに嫌がって、付き纏うなって言ったのにやめへんかった癖に……っ。急に大人しくなったと思たら、何やその顔。お前誰やねん。ホンマにあいつなんか？ 別人ちゃうか？ 何で、そんな急に変わったんや」
突如彼の声が荒くなり、その顔には今まで隠していたであろう感情が剥き出しになっていった。
一体何が彼のスイッチになったのかは分からないが。それをぶつけられた私の心はそれに反比例するように酷く静かに、すーっと冷めていった。ああ結局これか、と。
私の変化に戸惑うのは無理もない。そしてそれを受け入れ難いことも充分理解している。けれど私は別に今の私を受け入れて欲しいとは思っていない。ただもう何もしないから放って欲しいだけ。私の存在を忘れて欲しいだけ。まあ長い間苦痛を与えてきた
でも少なくとも、私がこうして身を退いたのは彼らへの罪悪感があるから。それと贖罪の為でもある。だけどそれを彼らが理解出来るかと言ったら──分からない。
影の奥に薄らと見えた彼の緑玉からはまるで気色悪いと言うように、私への嫌悪が滲み出ていたような気がする。ああ、その瞳を見たくないから逃げてきたのに。これじゃあ何の意味もない。
嫌な気持ちになるくらいなら私に近寄らなきゃいいのに。そう言いたいけれど私はぐっと堪えた。だって諸悪の根源は紛れもなく、この私なんだから。
やはり彼らと関わらないようにしないと。私は改めてそう決意した。
「今までご迷惑をお掛けしたことは深くお詫び致します。そして私が別人だと疑われても仕方がないことは重々承知しております。ですが私が、あなた方を苦しませてきた張本人であることは間違いありません。私の心変わりについては……きっとあなた方に話しても、理解されないことでしょう」
理解されたいとも思っていないけど。
私はパタンと本を閉じ、お弁当を入れた小さなバッグを手にすると立ち上がる。昼休みの時間はまだあるけれど今日はもう此処には居られない。これ以上彼と同じ空間に、居たくない。
「失礼します」
そして彼と目を合わせることなく振り返り、屋上の出入り口へと向かう。背中に彼の視線を感じていたけれど引き留められることはなく。私はそのままその場を後にした。
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抹茶ちよこ(プロフ) - かぼさん、お久し振りでございます。いつもいの一番にコメントして下さりありがとうございます✨よくある題材で設定が設定なので今までの作品に比べ糖度は低いですが、私らしく物語を紡いでいきたいと思っております。最後までお付き合い下されば幸いでございます。 (1月18日 8時) (
レス) id: 68848dd40a (このIDを非表示/違反報告)
かぼ(プロフ) - 新作おめでとうございます✨初めてお見かけする雰囲気のお話に、今から続きが待ち遠しさと楽しみでいっぱいです(*´ ‐ `*)気温の変動が激しい時期ですので体調崩されないようお気をつけてお過ごしくださいませ。 (1月16日 22時) (レス) @page8 id: 36a6e4e509 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2024年1月16日 20時
