会話が出来ている、だと？ ページ38
○まあ別に期待していた訳ではないけれど、せめて何かこう「ふーん」とか「そうなんか」とか返してくれればいいのに。
反応に困るし、こちらからも何か話すべきなのか悩んでしまう。とは言っても、別に私は彼と会話したい訳でもないし。でもこのまま彼を気にせず読書を再開するのも、流石にちょっと良心の呵責が。
質問には答えたし、それに満足して帰ってくれればこちらとしては有難いんだけど。彼はどうやらまだ其処から動く気がないようで私のことをじっと見つめてくる。非常に気まずい。
「あの、まだ何か？」
沈黙に堪え切れず尋ねてみる。早く何処かへ行って欲しいと言う苛立ちを決して表に出さないように。
すると彼は一度私から目を逸らした、ように感じた。そして何か思案しているのか、少し間を置いた後に再び唇をゆっくりと動かし始めた。
「他の奴らは？ いつも取り巻き居ったやん。お前と似た、プライドだけ馬鹿高いお嬢様みたいな奴」
「……今まで付き合わせて申し訳ないと頭を下げ、これからは無理に一緒にいなくてもいいとお願いしました」
「ふーん……それで誰も居らんくなったんか。何や、お前らの友情ってそんなもんやったん？」
「ええそうです。あなた方のような強い絆で結ばれたものではないので。でもこれでいいんです。これは私が望んだことなので。今は一人の方が気楽で良いと思っています。それにこんな嫌われ者に好き好んで近付いてくる人もいないですしね」
私はふっ、と口元に嘲笑を浮かべる。そんな私の皮肉を聞いた彼の口角が何となく、きゅっと下がったように見えた。
彼がまた唇を引き結ぶと沈黙が流れる。さあ、と私と彼の間に風が吹く。
何だか不思議な気分だ。まさかあのゾム様とこうして対話が出来ているなんて。エーラット嬢では成し得なかったことを私がやっている。この現実が未だに信じ難い。
会話の内容は決して穏やかなものではないけれど、暖かい気温の所為もあるのか、私の緊張は先程よりも少し解れていた。そこまで彼のことを警戒する必要はないのかと。こうして無難に質疑応答をしていれば、特に波風を立てることなくこの時間が過ぎるのではないかと。
──そう思っていたんだが。
「何で……何でなん」
「……？」
「マジで意味分からん」
そこで初めて、彼が不機嫌な声を吐いた。
どうしたんだろう。彼の異変に目を丸くしていると。
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抹茶ちよこ(プロフ) - かぼさん、お久し振りでございます。いつもいの一番にコメントして下さりありがとうございます✨よくある題材で設定が設定なので今までの作品に比べ糖度は低いですが、私らしく物語を紡いでいきたいと思っております。最後までお付き合い下されば幸いでございます。 (1月18日 8時) (
レス) id: 68848dd40a (このIDを非表示/違反報告)
かぼ(プロフ) - 新作おめでとうございます✨初めてお見かけする雰囲気のお話に、今から続きが待ち遠しさと楽しみでいっぱいです(*´ ‐ `*)気温の変動が激しい時期ですので体調崩されないようお気をつけてお過ごしくださいませ。 (1月16日 22時) (レス) @page8 id: 36a6e4e509 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2024年1月16日 20時
