突然の来訪者 ページ33
○バンッ──‼︎
「んﾞッ⁉︎」
突然大きな音が屋上に響き渡った。
びっくりして思わず音がした方へ振り向く。すると開け放たれた屋上の扉の前に、おそらく今し方入ってきた人物の姿があった。ぱっと目に入った色で、一瞬で男子生徒だと分かった。だが彼が普通の男子と違う点を見つけた瞬間、私は思い切り顔を顰めてしまった。
制服の襟から伸びている緑色。それが彼の頭を隠しているその様子から、その人物が誰なのか、遠くからでもすぐに分かってしまった。間違いない。あれは生徒会メンバーの一人、ゾム様だ。
彼は何やら急いだ様子で周りを見回している。それはまるで何かを探しているような。
何故彼が此処に、そして一体何をしているのか。少し気にはなったが、もう彼らと関わらないと決めた私は知らない振りをすることにして、すぐに視線を彼から外しまたテーブルの上へと戻した。どうか私に気付かないで。そして早くどっかに行って。
そう願いながら再び箸を進めていると、遠くからこちらに走ってくる足音が聞こえてきて、私の心臓がそれに比例するように早鐘になっていく。え、え、嘘でしょ。相手に悟られないようちらっと横目で確認してみると、彼がこちらに向かって駆けてくるのが見えてしまった。ええ何で。近付いてくる気配に冷や汗と胸の騒めきが止まらない。嫌だ、関わりたくない。
なんて心の中で全力で拒否している中、遂に私の下へやってきた当の本人は素早く私の背後を通り過ぎ、ガサガサと近くにあった茂みの後ろへと身を潜めた。
──うん？ あれ、スルーされた？
拍子抜けしてしまった私はおそらく其処にいるであろう彼を茂み越しに見る。
どうやら別に私に用があって来た訳ではなく、其処に隠れることが目的だったようだ。何だ杞憂かと幾分か胸を撫で下ろす。いやしかし、何でそんな行動を？ かくれんぼでもしてるの？
「はあ、はあ……っ。マジで、しつこいんやけど。何処までついてくんねん、あいつら……！」
彼の疲弊した声が茂みの向こうから零れてくる。その中に、微かに怒りが含まれていることに私は気付いた。その言い方からすると彼は誰かから逃げているみたいだけど。
一体誰に。と思ったその時、またしても屋上の扉が開かれる音が聞こえてきた。再び振り返ってみると、今度は数人の女子生徒がぞろぞろと屋上にやってくるのが見えた。
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抹茶ちよこ(プロフ) - かぼさん、お久し振りでございます。いつもいの一番にコメントして下さりありがとうございます✨よくある題材で設定が設定なので今までの作品に比べ糖度は低いですが、私らしく物語を紡いでいきたいと思っております。最後までお付き合い下されば幸いでございます。 (1月18日 8時) (
レス) id: 68848dd40a (このIDを非表示/違反報告)
かぼ(プロフ) - 新作おめでとうございます✨初めてお見かけする雰囲気のお話に、今から続きが待ち遠しさと楽しみでいっぱいです(*´ ‐ `*)気温の変動が激しい時期ですので体調崩されないようお気をつけてお過ごしくださいませ。 (1月16日 22時) (レス) @page8 id: 36a6e4e509 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2024年1月16日 20時
