やり切った ページ28
○相談なんて、する必要ある？ 彼の一声があれば簡単に出来ることだ。出ていけと、たったその言葉を発せばいいだけ。何を躊躇っているのか。彼だってそれをずっと望んでいたはずなのに。
すぐにそうしなかったことに私は理解が出来なかった。それとも何かそういう形式みたいなものがあるのだろうか。
でも答えはもう決まっているようなもの。生徒会に私を必要としている者はいない。此処は私の居場所ではないんだ。私にとっても此処には良い思い出などない。未練なんてこれっぽっちも。
この願いが叶えば、私は本当に自由になれるんだ。
「私からの話は以上だ。帰る所を引き留めてすまなかった」
「いいえ滅相もございません。それでは失礼致します」
さようなら。もう会わないことを願うわ。
胸の内でそう呟きながら私は彼に向かって再び裾を持ち上げる。そして身を翻し、エーミール様の横を通り抜け部屋から退出した。
バタンと扉を閉めて私は、はあ、と大きく息を吐く。ああ、やっとあの空気から解放された。緊張した。でも目的を果たすことが出来たおかげで私の心は次第に清々しさで満ちていった。よくやった私。頑張った私。
自然と零れた笑みを浮かべながら、私は西陽に染まった廊下を歩き始める。その足取りは、来た時とは打って変わって酷く軽かった。
その後生徒会室に残された二人がしばし言葉を失っていたことなんて、その時の私が知る由もない。
「はあッ⁉︎ それホンマか⁉︎」
声を荒げたシャオロンが思わず机に身を乗り出した。その場に同席する他のメンバー達も彼と同様に酷く驚いた表情を浮かべながら、その原因となった人物を凝視している。
「本当だゾ」
「う、嘘やろ……っ。絶対に抜けない、外させないって喚いてたあいつが……⁉︎」
いつもとは違って重い空気が漂う中、神妙な面持ちでグルッペンが放った言葉。それは生徒会室に震撼を走らせた。
──あのエーラット嬢が、自ら生徒会の脱会を願い出た。
誰もがその予期せぬ展開に動揺を隠せない中、グルッペンは冷静に、言葉を続ける。
「俺も、ただこの目で真実を確かめる為に彼女を呼び出しただけだったのだが……まさか彼女の方からそんなことを言われるとは思ってもみなかった」
「ええ、それは私も同感です」
彼の傍らにいるエーミールがこくりと頷く。
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抹茶ちよこ(プロフ) - かぼさん、お久し振りでございます。いつもいの一番にコメントして下さりありがとうございます✨よくある題材で設定が設定なので今までの作品に比べ糖度は低いですが、私らしく物語を紡いでいきたいと思っております。最後までお付き合い下されば幸いでございます。 (1月18日 8時) (
レス) id: 68848dd40a (このIDを非表示/違反報告)
かぼ(プロフ) - 新作おめでとうございます✨初めてお見かけする雰囲気のお話に、今から続きが待ち遠しさと楽しみでいっぱいです(*´ ‐ `*)気温の変動が激しい時期ですので体調崩されないようお気をつけてお過ごしくださいませ。 (1月16日 22時) (レス) @page8 id: 36a6e4e509 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2024年1月16日 20時
