生徒会長様 ページ25
○久し振りに耳にしたそれ。威圧感があり、まるで地の底まで響きそうな低い声。この声に魅了された女子は数知れず。けれど今の私にとっては恐怖以外の何物でもなかった。
「どうぞ」更に扉を開け放ちエーミール様が私を中へと促す。こちらを見下ろす彼の表情が、何だかさっきより穏やかに見えるのは気の所為だろうか。私はそんな彼に軽く会釈をしてからその前を通り中に入る。
その人は私の目の前、生徒会室の奥に鎮座していた。会長用の机に両肘を付き、顔の前で両手を組んでこちらをじっと見つめてくる。
グルッペン・フューラー──。
その目付きを厳しく感じるのはきっと気の所為ではないだろう。私を様子見するその鋭さと言ったら。こんなの子供が見たら泣き出すだろうな。大人ですらビビるのに。
真っ赤な瞳がより恐怖を演出していると言うか。何か、オーラが半端ない。いやこの人、ホントに生徒か？ 顔立ちや育った環境など諸々のおかげで、とてもじゃないが未成年に見えない。何だか、私はまるで魔王の前に立っているような錯覚すら覚えた。いや魔王なんて言う御伽話の存在に会ったことなんてないけどさ。きっとこんな感じなんだろうな。
張り詰める空気。久し振りの生徒会室だけど、目の前の彼がその感慨に浸る余裕を与えてくれなさそうだ。
しっかりしろ私。ここで怖気付いている場合ではない。私にはやることがあるんだ。
高鳴り続ける鼓動を落ち着かせようと一つ深呼吸してから、私は静かにスカートの裾を持ち上げた。
「ご無沙汰しております、グルッペン様。お元気そうで何よりでございます。
次いで今度は両手を体の前でクロスさせ頭を下げる。数秒の沈黙。そして顔を上げれば──ああやっぱり。見慣れたその反応。彼の顔には確かに驚きが表れていた。その瞳から放っていた強い光が微かに弱まったのを私は感じた。
「それで……私に何の御用でしょうか？」
淑女らしく毅然と。しかし高圧的にならず穏やかな感じで。そして冷静に。相手の出方を窺いながら自分から切り出すタイミングを見計らう。
また少し間を置いてから、ようやく私を呼び出した本人はその重い口を開いた。
「……最近、君がこの生徒会室にめっきり顔を出さなくなったから、どうしてるのかと思ってな」
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抹茶ちよこ(プロフ) - かぼさん、お久し振りでございます。いつもいの一番にコメントして下さりありがとうございます✨よくある題材で設定が設定なので今までの作品に比べ糖度は低いですが、私らしく物語を紡いでいきたいと思っております。最後までお付き合い下されば幸いでございます。 (1月18日 8時) (
レス) id: 68848dd40a (このIDを非表示/違反報告)
かぼ(プロフ) - 新作おめでとうございます✨初めてお見かけする雰囲気のお話に、今から続きが待ち遠しさと楽しみでいっぱいです(*´ ‐ `*)気温の変動が激しい時期ですので体調崩されないようお気をつけてお過ごしくださいませ。 (1月16日 22時) (レス) @page8 id: 36a6e4e509 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2024年1月16日 20時
