忘れてました ページ22
「お、お久し振りでございます、エーミール様。ま、まさか貴方様からお声を掛けられるとは……。私に何か御用でしょうか？」
困惑の所為で上手く言葉を言えないながらも私は努めて笑みを浮かべる。まさかこんな公衆の面前で生徒会メンバーに会うなんて。まずい。また変な噂を流されたら困る。私の計画が。ああ、周りの目が。視線が痛い。心の中でダラダラと汗を掻く。
一方エーミール様も、何だか私の態度に戸惑っているようだった。それもそうだろう。エーラット嬢なら声を掛けられた時点で至極嬉しそうな顔をして彼に擦り寄っていくだろう。だけど今の私は彼と一定の距離を保ったまま、傍目から見たら落ち着いて接しているように見えるのだから。
本当にあのエーラット嬢なのか。そんな疑心が彼の瞳から見て取れた。
「あの……昨日のことなんですが」
「ん？ 昨日？」
「はい。定例会議があったのはご存知だったでしょうか？」
「……ていれい、かいぎ？」
ぽく、ぽく、ちーん。
次の瞬間、頭の奥にしまっていた記憶を呼び起こした私ははっとして顔を青褪めた。そうだ、定例会議があったんだった！
定例会議とは、生徒会のメンバー全員が必ず参加しなければならない、月一回の集まりである。だけどこの頃自分のことで精一杯だったし、もう彼らと関わりたくなかったから私はすっかりその存在を忘れてしまっていた。
けれどその理由を馬鹿正直に話す訳にもいかない。やばい、どうしよう。私は思考をフル回転させて言い訳を探した。
「えっと、その……さ、最近、家の事情が立て込んでおりましたので……。い、忙しかった為、忘れておりました。申し訳ございません」
そう言って彼へ深々と頭を下げる。うわあ咄嗟に思い付いたことを言ったけれど、吃った所為で怪しまれていないだろうか。そんな心配が頭を過ぎる。
態度ではそう見せているが、その実私はそれほど反省してなかった。いや自分の職務を放り出すのは良くないことだと分かっているけれど、私がいなかったことできっと昨日はスムーズに会議が出来たのではないだろうか。皆いつもより穏やかな心情でいられたはずでは。
……まあ、本当に会議したかどうかは知らないけど。協調性とかやる気が有るんだか無いんだか、彼らが真面目に会議する光景をいまいち想像出来ない。基本彼らは面白いことでなければ動かない性質だから。
そして私も、あの生徒会にいても何のメリットもない。ただ場の空気を悪くさせるだけ。
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抹茶ちよこ(プロフ) - かぼさん、お久し振りでございます。いつもいの一番にコメントして下さりありがとうございます✨よくある題材で設定が設定なので今までの作品に比べ糖度は低いですが、私らしく物語を紡いでいきたいと思っております。最後までお付き合い下されば幸いでございます。 (1月18日 8時) (
レス) id: 68848dd40a (このIDを非表示/違反報告)
かぼ(プロフ) - 新作おめでとうございます✨初めてお見かけする雰囲気のお話に、今から続きが待ち遠しさと楽しみでいっぱいです(*´ ‐ `*)気温の変動が激しい時期ですので体調崩されないようお気をつけてお過ごしくださいませ。 (1月16日 22時) (レス) @page8 id: 36a6e4e509 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2024年1月16日 20時
