ほにゃららは突然に ページ21
誰とも関わらなくていい。私はただひっそりと暮らしたいんだ。それだけが望み。
──なんだけど。どうして。
「──っ」
「えっと……お、お久し振りですね、Aさん」
どうして望んでもいないイベントは起こってしまうんだ──。
今日も何事も無く、学園のカリキュラムは全て終了した。委員会や同好会に所属してない私は特に放課後は予定がないので、ホームルームが終わればすぐに帰宅している。いつものように帰ろうと廊下に出ると。何故か教室の前に人集りが出来ていた。何事？
「……げっ」
自然とそちらに目が行ってしまい、その先で見たものに私は思わず顔を顰めた。女子達より頭一つ分飛び出た人物。その顔に見覚えがあった。
まるでミルクティーのような淡い茶髪に乳白色の瞳。女子に囲まれておどおどしている彼は生徒会メンバーの一人、エーミール様だ。
何故此処に彼が。彼は一つ上の学年なので、彼の教室は此処から離れている。彼がよく行く場所も全然近くない。何か此処を通り掛かる用事でもあるのだろうか。
理由は分からないが、とりあえず私の頭の中では警報が鳴っている。生徒会メンバーと接触するなと。折角今までそうしないよう行動してきたのに、その努力を此処で水の泡にされてたまるか。
──まさか、私に用があるとか？
その考えが一瞬頭を過ぎるが私はすぐに振り払った。そんな馬鹿な。あっちから私に近付く訳がない。デメリットしかないそんな行動を取る理由なんて思い付かない。
とにかく、何かトラブルが起きても困る。早い所この場から離れなければと、私はさっさと彼に背を向けた。
「あっ！ あ、ちょっと……っ。すみません、お話はまた……！ Aさんっ！」
けれど、私の考えはいとも簡単に崩れ落ちた。
背後から、彼が私の名を呼ぶ声が聞こえた。聞こえてしまった。その瞬間私の頭の中が疑問符で溢れ返る。
何故。何故彼が、私を呼び止めるんだ？ 聞き間違いではと最初思ったが、幾ら周りが賑やかでもこの距離であの大きな声が聞こえない訳がない。
出来れば聞こえなかった振りをしたいが、ここでそれは悪手だと。今彼の声を無視するのは一番良くないと、そう直感した私は逃げ出したい心境を押し留めて歩みを止める。そしてバクバクと高鳴る鼓動を胸の内で感じながら後ろを振り返る。すると其処には驚きや不安などが混じり合った、何とも名状し難い表情のエーミール様がいた。
そして冒頭に戻る。
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抹茶ちよこ(プロフ) - かぼさん、お久し振りでございます。いつもいの一番にコメントして下さりありがとうございます✨よくある題材で設定が設定なので今までの作品に比べ糖度は低いですが、私らしく物語を紡いでいきたいと思っております。最後までお付き合い下されば幸いでございます。 (1月18日 8時) (
レス) id: 68848dd40a (このIDを非表示/違反報告)
かぼ(プロフ) - 新作おめでとうございます✨初めてお見かけする雰囲気のお話に、今から続きが待ち遠しさと楽しみでいっぱいです(*´ ‐ `*)気温の変動が激しい時期ですので体調崩されないようお気をつけてお過ごしくださいませ。 (1月16日 22時) (レス) @page8 id: 36a6e4e509 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2024年1月16日 20時
