このまま何事もなく ページ19
○険しい表情でそう捲し立てるゾム。どうやら折角一番乗りで勝利したと言うのに、エーラット嬢の話をされてその栄光の余韻に浸れず気分を害してしまったようだ。
ちなみに彼はメンバー内で一二を争う彼女嫌いである。遠くにあるその姿を視界の端に入れただけでもすぐに逃げ出したり、話し掛けられたら基本無視するほど徹底的に関わらないようにしている。
それには激しく同意だ。とこちらもシャオロン達から少し離れて、コネシマ達とは反対側にいるトントンがそんな表情を浮かべながら書類にペンを走らせていく。
「まあ、せやな。もうやめとこか。これ以上続けたらゾムが暴れかねんわ」
ロボロはふう、と一つ息を吐いてから「次はお前やで」と視線をシャオロンに投げ掛ける。ああ、そう言えば次は俺だったか。それに気付いた彼は周りの空気を読み一旦思考を止めた。
まあ気になっていたことの真偽は確かめられたし。隣にいるフィオナの方へ手を伸ばし、並べられた手札を見つめる。が、頭の中ではまだエーラット嬢の姿がちらついていた。
自分から言い出したことではあるが、やはり気分の良いものではない。ゾムほどではないが彼もまた彼女に対して良い思い出など微塵もないからだ。ロボロの言った通り、これ以上彼女の話をするのは止めよう。シャオロンはそう強く決意した。
願わくばこの平穏な日々がずっと続きますように──。
そう思いながらフィオナの手札から一枚引いた。
あれから私はエーラット嬢がしてきたことを全てやめた。偉そうな態度も他の生徒達を虐めることも、生徒会メンバーに擦り寄ることもフィオナ嬢に嫌がらせすることも。全部。そして私に媚びを売ってきた子達はもう近付かないようにとなるべく遠回しな言い方で何とか振り払い、無理矢理取り巻きにしてしまった子達は解放してあげた。そうなれば私に近付いてくる者はほとんどいなくなり、おかげで私の周りには誰もいなくなった。
ここまで来るのに結構時間が掛かってしまった。ああやっと静かになれる。誰か、めげずに頑張った私を褒めて。ホント面倒臭かったんだから。
もうあんな空気の中にいるのは嫌だ。嫌々付き合っているような雰囲気に、作り笑いの下に隠された私を見下している瞳。居心地が悪いったらありゃしない。エーラット嬢はよくあんな所にいられたな。まあ鈍かったから気付かなかったんだろうけど。
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抹茶ちよこ(プロフ) - かぼさん、お久し振りでございます。いつもいの一番にコメントして下さりありがとうございます✨よくある題材で設定が設定なので今までの作品に比べ糖度は低いですが、私らしく物語を紡いでいきたいと思っております。最後までお付き合い下されば幸いでございます。 (1月18日 8時) (
レス) id: 68848dd40a (このIDを非表示/違反報告)
かぼ(プロフ) - 新作おめでとうございます✨初めてお見かけする雰囲気のお話に、今から続きが待ち遠しさと楽しみでいっぱいです(*´ ‐ `*)気温の変動が激しい時期ですので体調崩されないようお気をつけてお過ごしくださいませ。 (1月16日 22時) (レス) @page8 id: 36a6e4e509 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2024年1月16日 20時
