一体これは何なんですか？ ページ2
○ぐるり。首を左から右へ。そして停止。
やはり部屋も見覚えがない。と言うか第一印象として、まるで一級ホテルの客室みたいだ、と思った。広くて、置いてある家具が何だか高級品っぽくて。天井からぶら下がるシャンデリアなんて映像でしか見たことがない。そして凄く良い匂いがする。
──此処は、一体何処なんだ？ 私は何故此処にいるんだろう。
浮かび上がる疑問と胸騒ぎ。誰か。これに答えてくれる存在が欲しい。そう思った次の瞬間、コンコン、と部屋の扉が叩かれた。その音に思わずビクリと体を震わせてしまった。
「失礼致します」扉の向こうから柔らかな高い声が聞こえ、次いで扉がこちらの返事も無しに開けられた。ゆっくりと開き、出来た隙間から見えたのは、一人の女性。黒のワンピースに白のエプロンで、身形の整った綺麗な人だ。
彼女がこちらに顔を向けると、視線がかち合った。瞬間、その紫の瞳が見開く。
「……っ、お嬢様⁉︎」
顔を驚きに染めて彼女は駆け寄ってきた。私は違和感を覚えた。彼女が何故そんな反応を示したのか、何故そんな声を荒げたのか、理解が出来なかったのだ。
けれど、最も理解し難かったのは——今まで一度だってその呼称で呼ばれたことがなかった。いやある訳が無いなのに、それが私を指し示しているのだと瞬時に分かったことと。彼女を知らないはずなのに、彼女の名前が頭の中に浮かんだことだった。
「お目覚めになられて本当に良かったです……！ お嬢様、お体は大丈夫なのですか？ どこか痛い所とかは……？」
傍に寄った彼女の心配げな表情を見上げながら私は更に眉間に皺を寄せた。
何、どういうこと？ 私はいつも通り自分の部屋で寝て起きただけなのでは？ 体は、何とも。ただ以前より大分軽い気がするけれど。
──いや待って。私今、此処が自分の部屋だと思った？ え、違う。違う、だって私の部屋は、賃貸のボロアポートの狭い一室のはず。こんな所とは全く正反対の──。
「お嬢様？」その声に私ははっとする。目の前に意識を向けると首を傾ける彼女が見える。あれ、何をしてたっけ？ えっと、ああ、彼女が私の体を心配しているんだった。それで、私はその理由を知りたくて。
「……何でそんなことを訊くんですか、ベスタ？」
「……え？」
すると彼女、ベスタがまた驚いた表情を見せた。いや、今度は何？ 私何か変なことでも言った？
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抹茶ちよこ(プロフ) - かぼさん、お久し振りでございます。いつもいの一番にコメントして下さりありがとうございます✨よくある題材で設定が設定なので今までの作品に比べ糖度は低いですが、私らしく物語を紡いでいきたいと思っております。最後までお付き合い下されば幸いでございます。 (1月18日 8時) (
レス) id: 68848dd40a (このIDを非表示/違反報告)
かぼ(プロフ) - 新作おめでとうございます✨初めてお見かけする雰囲気のお話に、今から続きが待ち遠しさと楽しみでいっぱいです(*´ ‐ `*)気温の変動が激しい時期ですので体調崩されないようお気をつけてお過ごしくださいませ。 (1月16日 22時) (レス) @page8 id: 36a6e4e509 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2024年1月16日 20時
