◇ ページ29
椅子を引き腰掛ける様に促すと素直に座ってくれる彼女。
カップに紅茶を注ぎどうぞと彼女の前に置いて自分の分の紅茶もカップに注いでいく。
紅茶で満たされたカップを片手に彼女の正面に座りさあどうぞ、召し上がってくださいと笑みを浮かべた。
「貴女は甘いものがすきだと、以前ロボロさんが生徒会室で仰っていたので用意してみました。お口に合うと良いのですが……」
『気を遣わせてしまってすみません…紅茶も美味しそう…ありがとうございます』
「それ、私のお気に入りなんです。そう言って貰えて嬉しい限りですよ」
いただきますと紅茶に口を付け穏やかに表情を綻ばせる彼女。
オルレアンの乙女を彷彿とさせた先程とは打って変わり、今は不思議の国を無邪気に駆け回った少女の様に愛らしい。
「…そういえば、さっきは少し驚いてしまいました」
『へ？』
「普段の兎月さんとはまるで印象が違いましたから。あんなお顔も出来るんですね、実に美、」
ひゅっ、と喉が鳴った様な乾いた音に紅茶を見つめていた視線を上げると顔を真っ青にさせている彼女。
震えながらカップをゆっくり置くと両手で顔を覆いああ〜…！とか細い呻き声を上げている。
「あ、え？と、兎月さん？」
『さいっっあくや……また気抜いて……というか、腹立ち過ぎて全然気付かんかった……あっあっ、あの、違っ、違うんです、決して、かわいこぶってたとか、そんなんやなくて……』
どうやら余っ程さっきの自分を見られたくなかったらしい。
もしかして私が幻滅するとでも思っているのだろうか？もしそうなら、彼女は私を見くびり過ぎている。
彼女から出た言葉の数々から滲み出ている優しさの真偽も分からない程、私は愚かではないのだから。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 713人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
える。(プロフ) - 桜華さん» こんばんは初めまして、える。と申します。青い鳥の件、把握致しました。確認して参りますね！コメントでのご報告、誠にありがとうございます。これからも何卒よろしくお願い致します。 (2023年2月21日 18時) (
レス) id: 4124cd0df0 (このIDを非表示/違反報告)
桜華(プロフ) - コメント失礼いたします！青い鳥の垢をフォロー申請しましたことをDM開かれていらっしゃらないようでしたので、こちらより失礼致します。同じ名前の垢より申請送られているかと思われますので、ご検討よろしくお願いいたします！ (2023年2月21日 17時) (レス) @page50 id: db53fda8a3 (このIDを非表示/違反報告)
える。(プロフ) - ピット☆さん» こんばんは、える。と申します。自宅の夢主ちゃんを褒めて頂いてありがとうございます！彼女はもしかしたら人と感覚のピントがズレているのかもしれません(笑)応援も痛み入ります、頑張らせて頂きます！ (2022年12月30日 18時) (レス) id: 4124cd0df0 (このIDを非表示/違反報告)
ピット☆(プロフ) - 狂気的な愛を前にしてビクビクするだかじゃなくてしっかりやり返せる夢主ちゃん…最高です！！こんなにちゃんとやり返せる子はあんまり居ないので読めて嬉しいです！大変だとは思いますがこれからも無理しない程度に更新頑張ってください！ (2022年12月30日 9時) (レス) @page12 id: 9c7661f737 (このIDを非表示/違反報告)
える。(プロフ) - 清水さん» おはようございます、える。と申します。コメントありがとうございます！是非今後とも、物語の行く末を見届け頂ければと思います。頑張りますね、応援ありがとうございます！ (2022年12月28日 8時) (レス) id: 4124cd0df0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
