第17話：胸の炎 ページ10
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暗い道を、A達は急いで目指す。
足元に気を付けながら、彼女達は出口を目指す。
どうやらA達が囚われていたのは地下だったようで、ひたすら階段を駆け上がる。
「もうすぐや、頑張れ！」
チーノの声に、子供達は小さな体を必死に動かしながら、駆けて行く。
その一番後ろから、Aも彼らの背中を追う。
『はぁ……はっ……』
しかし、疲労か恐怖かAの足は上手く動かない。
次第に彼らとの差が開いていき、息も弾む。
ゆっくりと速度が落ちて行き、ついには気づけば足が止まっていた。
「A姉ちゃん、大丈夫？！」
前方からオルヴァーの声が聞こえてきて、Aは顔を上げた。
見れば、子供達は全員こちらに振り向いていた。
Aは無理やり笑顔を作って、彼らを安心させるように口を開いた。
『私は大丈夫。だから、先に行ってて』
「でも……」
「オルヴァー、コレ持てるか？」
そう言って、一番先頭にいたオルヴァーに灯りの点いた燭台を手渡した。
それから、後方のAの元まで行くと、ヒョイッと彼女を横抱きにした。
『きゃっ！』
「さ、お前らはぐれんなよ！走れ！！」
チーノが言うと、子供達はまた勢いよく走り出した。
『ち、チーノさん！私、大丈夫ですから……』
「ええから。しっかり捕まっとけよ」
ニッと笑ったチーノの顔がいつもよりも近くて、Aは顔が熱くなるのを感じた。
しばらく階段を駆け上がっていると、やっと出口が見えてきた。
ぼんやり明るくなっているそこから、大きな声でA達を呼ぶ人影が見えた。
「チーノォ！！大丈夫かぁー！！」
「隊長！！声が大きすぎます！！」
ハッキリした声に驚いたが、チーノは嬉しそうに彼の名前を呼んだ。
「コネシマさあん！！」
「おお！無事やったか！！」
出口には、大勢の国軍兵士達がいた。
子供達は泣きながら兵士達の胸に飛び込んでいった。
Aもチーノと共に、無事に外へ出た。
金髪の青年、コネシマと呼ばれた兵士がチーノに近づくと、バシッと彼の背中を叩いた。
「よおやったな！後は俺らに任せろ！」
「お願いします。中の状況は……」
チーノはAを抱えたまま、コネシマへ状況報告を行う。
やっと外へ出られたというのに、ずっと気を張っていたせいか、Aは呆けてしまっていた。
チーノの腕の中でぼうっとしていると、スッと体が離れる感覚がした。
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作者名：双葉ちほ | 作成日時：2021年7月3日 22時
