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「はっ？！？！」
「もう、バレてるて。いや、あの子が感づいてるかは知らんけど。俺らは気づいてるで」
素っ頓狂なチーノの声に、シャオロンは呆れたように溜息をついた。
シャオロンの言う通り、チーノがAに好意を寄せていることは国軍幹部の中でも周知の事実。
分かりやすいチーノの言動と行動で、全員が察してしまったのだ。
なお、その事実に本人が気付くことは無かったようだが……。
自身の知らぬ所で、いわゆる好きバレをしてしまった事態に、チーノは項垂れ顔を伏せた。
「普通に恥ずいて……」
「お前意外に分かりやすいねんな」
「俺は隠してたつもりなんですう」
「バレバレやったで。いっつもAと一緒におったやん」
「……Aも、気づいちゃってたりしてるんすかね」
「それは分からんけど……でも、あんまそういうの気にしなさそうじゃん？」
「脈ナシって事っすか」
「いや、そうじゃなくて。あんまり色恋に敏感じゃなさそうってこと」
つまりは、まだ男として意識されていないということか。
彼女が自分に心を開いてくれているのは、重々承知している。
一番信頼を置いてくれているのは分かるが、それまでの関係。
もう少し踏み込んだ関係としては、考えていないのだろう。
「……俺、めっちゃ好きなんすよ」
「だから、さっさとデート誘えって。そんでもう告れ」
「それは早くないっすか？！」
「ここまできたら早いも遅いもないやろ！お前、片思い長すぎて拗らせたんとちゃうか？！」
シャオロンのひと言に、チーノの肩がびくりと震える。
それから、頬を引き攣らせながらゆっくりと振り返った。
「シャオさん……なんで、俺の片思いが長いって知ってるんすか……？」
その問いに、シャオロンも失言に気付いた様で慌てて口を塞ぐ。
そして、何も言わずスッと目線を逸らした。
「誰ですか！！誰に聞いたんすか！！！」
がっしりとシャオロンの肩を掴み、ブンブンと揺さぶる。
頑なに黙秘を貫くシャオロンであったが、あまりの勢いに眩暈がしてきた。
これ以上は流石に体が危険だと判断した彼は、されるがままで口を開いた。
「いやあ、俺は知らんで？お前が、ごっつ昔から年単位でAに片思いしてるのなんて……」
「マジで！誰から聞いたんすか！！」
珍しく顔を赤くして動揺するチーノの慕情を暴露したのは誰なのか。
犯人を聞き出すには、もう少し時間がかかりそうだ。
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作者名：双葉ちほ | 作成日時：2021年7月3日 22時
