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「せやで。俺には全部お見通しや。嘘ついても無駄やで」
「だから」と言いながら、チーノはAの前に膝を着いた。
それから、愛おしそうにAを見つめながら、ゆっくりと口を開いた。
「もう1人で抱えんな。1人でなんとかせんでええから。これからは、俺が傍におるから。何があっても、俺が絶対守ったる」
『チーノさん……』
「なあ、A。俺とも約束してくれへん？もう危ない事せんって。俺、ホンマ肝冷えたで」
困った様に笑うチーノに、Aの胸がギュッと締め付けられた。
ああ、この人はこんなにも自分を心配してくれている。
いつだって、味方でいてくれるんだ。
この人になら、全てを任せられそうな気がする。
Aは目を細めて、優しく微笑んだ。
『ありがとう、チーノさん。約束します。これからも、どうぞよろしくお願いしますね』
すると、チーノは優しくAの手をとった。
「仰せのままに、A姫」
そう言うと、そのままチーノはAの手の甲へ口づけをした。
その時、ちょうど地平線から朝日が顔を出した。
全ての始まりを物語るような朝の光が、2人を照らす。
その姿はまるで、気高き姫君と忠誠を誓う騎士そのものだった。
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作者名：双葉ちほ | 作成日時：2021年7月3日 22時
