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「―――！」
ザアザアと、雨の音が大きくなる。
ラウラの言葉を聞いた途端、チーノはガタッと勢いよく立ち上がった。
大きな音に、周りにいた兵士達は揃ってチーノへ振り返った。
しかし、そんな事などお構いなしにチーノは淡々とラウラに言った。
「ラウラ、俺も今からそっち行くわ。兵士も何人か連れてく。そんで、もっかい皆で探そう」
“でも、チーノ……”
「大丈夫やから。他の子供達は寝れてるか？まずは子供達、ちゃんと寝かせてから俺達で2人探そう」
“そうね……”
「ラウラも、俺らが着くまで少し休んどいてや」
そう言って、チーノは電話を切った。
それから、チーノは部屋にいた兵士たちに言い放った。
「城下町で、教会の子供とAが行方不明や。悪いけど、今から探し行くから付き合ってくれ」
「「はい！」」
テキパキと指示を出し、チーノは素早く出かける支度を始めた。
室内は一気に慌ただしくなり、ドタバタと全員が動く。
そんな中、副隊長がチーノに声を掛けた。
「チーノ隊長」
「なんや！」
「……隊服の羽織が逆です」
ピタッと一瞬チーノの動きが止まった後、彼はいそいそとジャケットを直した。
「動揺されてますね」
「何がや」
「Aさんは、きっと無事ですから。しっかりしてください」
何もかもお見通し、とでも言うように副隊長は言った。
その様子に、チーノもグッと唇を噛んだ。
さっきまでのユルユルな空気は一体どこへやら。
心は強く動揺しつつも、すっかり冴えた頭で指示を出し始めた。
その切り替えは、流石は隊長と言ったところだろう。
「(A……)」
一度、深く息を吸ってチーノは耳元のインカムを繋げた。
通信の相手は、通信指令室のロボロだ。
「あ、もしもし？ロボロさんですか？」
“なんやチーノ……こんな時間に……”
「ちょっと緊急事態でして。先日、幹部の議会で話題に上がった密輸船の話について、詳しく聞きたいんですけど……」
“ああ、今度ショッピ君達が任務に当たるやつか？”
「ええ、そうです。できれば、大先生にもお話を聞きたいので、今から情報部隊の部屋まで来てくれませんか？」
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作者名：双葉ちほ | 作成日時：2021年7月3日 22時
