白い尾とあなたへ

ドライブkntk ページ10

「」はお相手『』はあなたです

『はーい、杉並木でーす』
「はーい、窓閉めてくださいー。俺ら死んじゃいまーす」
『了解でーす』

今日はお互いになんの予定もない。きんときの運転でドライブしたい、なんてわがままをベッドの上でねっ転がりながら言ってみた。ふと横目できんときを見ると、キーケースから車の鍵を取り出して指でくるくる回している彼が見える。
「行かないの？」
『い、行く！着替える！』
「いいよいいよ、車乗るだけだし。ドライブスルー巡りでもしよ？」
『わーい！』


ドライブスルーで買ったハンバーガーを頬張りながら助手席の窓を閉める。2人とも花粉アレルギー持ちなので、杉並木は危険。
彼の安全な運転で、他愛もない会話で、穏やかな時が流れる。ハンドルに添えられた彼の手を見て、あぁ、幸せだなって、改めて自覚する。彼の整った横顔を盗み見ると、どうしても胸がいっぱいになる。
「食べ終わったの？」
『うん。美味しかったー』
「俺にもコーラ取って」
『はいどーぞ』
「ん。」

赤信号になったタイミング。渡してあげようと思って手に持ったコーラのストローに吸い付く彼。突然至近距離に近づいて来たことへの緊張で彼の顔から目が離せなくなる。そんな自分とは対照に、彼はフロントガラス越しの外から目を離さず、ありがと、と言い青信号で発車する。
少しの静寂。きんときの咳払い。ちらりと顔を伺うと、彼もこちらを横目で見ていた。

「なに、改めて惚れちゃった？」

いたずらっぽく細めるその目が好きで、目が離せない。顔に熱が集まるのを感じる。

『ほれ、た』
「素直かよw」

ふはっwと笑う彼にかっこいいのが悪いなんて、好きすぎるのを誤魔化せていな言い方をして。きっと今は、夕日に照らされたきんときの顔とは比べ物にならないくらいとても赤い顔をしているだろう。

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