白い尾とあなたへ

⇒ ページ12

後編です

チョコを湯煎したり、泡立て器で腕痛くなったり、捲った袖が落ちてきて助けを求めてきたり、、、慌ただしいけど丁寧で、可愛くて、今作ってるこのチョコケーキを受け取れる相手が憎い。完成するにつれてだんだん気持ちが暗くなっていくのがわかる

br「ねえ、今日これ、わたすの？」
『うん！』
br「もう日が暮れそうなのに？」
『うん、すぐ渡せるから、大丈夫なの』
br「、、、ふーん」

僕は大丈夫じゃない。みんなして大丈夫大丈夫って。モヤモヤしながら、でも君にこんな思いはバレないように。

『できた〜!!』
br「美味しそうなのができたんじゃなーい?」
『うん!ありがとうぶるーく!』
br「、、うん。どういたしまして。じゃあ、、」
渡しに行くんだよね、行ってらっしゃいって言おうとして。ちゃんと笑顔で頑張れって言えると思ってたのに。どうしたの?どうして、Aはそんなにまっすぐ僕を見てるの?なんで、なんでそんなに顔が、赤いの?お皿にケーキを乗せて、両手で持って、なんで、もしかしてすぐ渡せるって意味は、、待ってよ。期待させること、しないでよ。

『ぶるーく。』
br「へ、、」
『もう、気づいてるかもしれないけど。私は、ぶるーくのことが、』
思わずA口を両手で塞ぐ。驚いた顔をするAを見て、大きく息を吸う
br「僕から、僕から言わせて、よ。僕はAが好き。大好きです。今日も、僕じゃない誰かにケーキを作るの手伝うなんて、やだった。でも期待していいなら、いいなら。」

br「僕と付き合って欲しいです。」

ずっと口を塞いでた手を離す。手が少し、濡れてる?Aの顔を見る。涙が溢れている君がそこに居た。

『よろしく、お願いします。』

ふわっと笑う君がどうしても愛おしくて、抱きしめたくなる。嬉しくて嬉しくて、たまらない。ずいっと顔の近くまで差し出されたチョコレートケーキ。

『これ、食べてくれる?』
br「もちろん。一緒に、ね?」

fin

バレンタイン 後日談ぽいやつ→←バレンタイン br

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す