キミがただの水死体にもどってしまうなら｡【️改稿版】 (ページ10)

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いページ10

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誰もいない夜中、海に来たんだ。

Aの瞳を見て、それはもう本当に、美しい星空のようだったことを思い出す。

Aの星空みたいな瞳を気恥ずかしげに"綺麗"と褒めた時、彼女は
「シャオロンの瞳も月みたいで、私は好きだよ。」
と俯きげに言ったことを今でも覚えている。

満月が煌々と光る夜空。俺はやっぱり月は嫌いだな、と思う。

星空が本当に輝くのは月光がない新月の夜の時。寒空の下、雲一つない快晴で、月明かり一つない夜空を、ふたご座流星群を2人で眺めていたことがある。

やはり、月なんてない方が星々は美しく生き生きと光っていていいのでは無いか。

……話が逸れた。

彼女は初めから現れてなんかいなかったんだ｡

そんなこと､頭が狂っていたあの時から気づいていただろう？ずっと前からそうだった、だろ?

だって、悲しいくらいよく知ってる顔､窓際に置いた君の遺影がまだ笑っている｡

やっぱりね、君はセイレーンなんかじゃなかった。

水死体だった。

そんなこと分かっていても俺はこのことを正しく理解したくなかった。でも、頭では死にたいくらいその事を正しく理解していた。このまま幻に呑まれさせてくれよ｡もう1人なのは嫌なんだ｡

これだけが救いだ｡

呟いて海にとびこんだ｡

深く、深く沈んでいく。不思議と苦しさはなかった。水と一緒になってくような。

最期、目を閉じる瞬間に

君の姿が見えた気がする。