【d!】不良を買い取りました！

28話 ページ28

グルッペンの屋敷

「……」

慣れない肉の匂いがする。
瞼の裏が眩しい……
お日様の匂いがする布団

やっとあいた瞼で辺りを見渡せば
自分の家ではなく…借金取りの
彼の家ということに気づいた。

起き上がれば…清潔な白い寝巻き
…俺の服どこだろ、…

制服、あれしかないから
困る…


gr「起きたか」
「…グルッペンさん、おはようございます」
「制服は、何処ですか？」
「学校に、行かなきゃ…」

gr「…」

寝ぼけた頭で制服を探すのは
その行為が体に刻まれているから
だろう、

Aの細い体を抱きしめて、
今日は学校を休ませたことを
伝えれば

え

と短い悲しみの声が伝わった

gr「俺がいなきゃ、あのまま倒れてたんだ」
gr「…ほんまは病院に行かせたいくらいだぞ」

「…大丈夫です、…すみません」
「金ないから、体でしか払えんけど…」

gr「やめろ」

何の躊躇いもなく服を脱ぎ出すのを
止める。いつの間にかそれは恥ずべき
行為という概念を忘れてしまったらしい

どれだけ、人と寝たんや

gr「朝飯、食うぞ」

「大丈夫です、体しか払えないのに」
「食うなんて、無理ですから」

gr「…」

Aの等価交換主義がまた出た
俺より酷いんじゃないのか？

怒りを溶け込んだため息を吐いたあと
珍しく戸惑ってるAを引っ張って
居間に座らせる。

女中に作らせた朝ごはんをみるなり
Aは喜ぶどころか、怯えだす

いらん、と首を振るばかり

gr「そんなに等価交換しないと無理なのか」
gr「俺的にはそれを治して欲しいぞ」

gr「じゃぁ、今日は丸1日俺に付き合う」
gr「これでどうだ？」

「わ、かりました…」


gr「なら食え」

「…いた、だきます」


慣れてないのか下手くそな
箸使いで必死に食べる小動物

味の好みなんて知らないが、
時折笑顔を見せてくれるから
満足な味付けにはなってるのだろう


ほぉ、…人参が苦手なのだな？
今度から甘く味付けたものにしてやる

…卵焼き好きなんだな。




隣で観察している俺にすら
気づかないほど味わってるA
等価交換せずとも好きなだけ、
やるのに


gr「…ふふ」

隣で俺も朝飯を食うとしよう


───

職員室


？「…」

tn「どうしたんですか、××先生」

1組担任の××先生が妙に手先を震わせながら
俺の方を向く。化け物でも見たのか

乾いた口から発せられたのは
今日やすみのアイツのこと

？「あいつの、親父ってなんか薬でもしてるんすか…？」
？「くっそ怖い声なんすけど…」

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